なぜ日本と香港のラーメンはこんなにも値段が違うのか?

今や世界中で人気になっている日本のソウルフード、“ラーメン”は、もちろん香港でも大変な人気を博しています。私もラーメン大好き人間で、日本にいるときは週に2〜3回は食べに行っています。だがここで問題が…。

香港のラーメンは高すぎます!!おかげさまでカップ麺を食べざるをえない生活になっています。今回は、この価格差はなぜ起きてしまうのか、マーケティング目線から見ていきます。

 

  • 約2倍の価格差??

 私の愛する立川の家系ラーメン家、「つばさ家」では、一杯670円ですが、同じ家系ラーメンの「松壱家」(Causeway Bay店)では78HKD、約1150円の価格となっています。約2倍の価格差です。香港は確かに物価も高いですが、東京と比べて2倍も高いということはありません。しかしその価格差には合理的な理由がありそうです。

 

  • 製品コストの問題

 供給側の問題としてまず製品コストが挙げられます。

日本でラーメン店を開くなら、様々な地域の製麺所から麺を購入し、スーパーや市場からチャーシューやスープ用の豚肉を買えます。しかし、香港をはじめとする海外ではまず、ラーメンの麺を作ってくれる製麺所を探すにも一苦労です。

あらゆるものが現地のローカルのものなので、その中で本場日本の材料を手に入れる為には、手間やコストが必然的に重くのしかかってきます。これは固定費であり、よっぽど店の規模や店舗数を増やす以外にはなかなか解決が難しいです。

 

  • ブランド、消費者の知覚と価格競争

 加えて、価格設定や日本食のイメージを利用してラーメンのイメージを作り出す価格戦略があるのではないかと言えます。香港をはじめとする外国では、日本食は当然ローカルフードよりも少しお高くつくイメージがあるでしょう。特に香港は日本食が人気で、少し高いお金を払ってでも食べに行こうという人が多いです。

 

加えて、多くのラーメン店は、CentralやTsim Sha Tsui、Causeway Bayといった繁華街に位置し、こうした場所では当然物価も高くなっています。日本食というブランド+身近にない海外料理+出店場所などの要因の組み合わせにより、消費者側のラーメンの知覚価格も上昇します。

この点を理解した上で、日本と比べより高価格に設定されているのではないでしょうか。

 

 また日本ほど競争も激しくありません。東京のラーメン店舗数は約4000店舗近くありますが、香港では500店舗ほどです。先ほど挙げた中心部の繁華街に限っては数十店舗ほどしかなく、日本に比べ熾烈な価格競争は避けられているのではないでしょうか。

 さらに、その価格設定から、他業界との競合も比較的避けられていると言えます。一般的なローカルレストラン、ファストフード店の相場は50HKD前後ですが、その価格帯を避けられたことで、顧客の奪い合いを回避でき、彼らの価格設定に左右されず営業できているとも言えますね。

 

  • まとめ

 香港をはじめとする海外のラーメン店では消費者のイメージや知覚を巧みに利用し、適切にポジショニング、ブランディングを行った結果、日本よりも高価格を設定しています。

製品コストの面で利益率は見かけの価格差ほど高いわけではないかもしれませんが、1度成功し、基準となる価格やビジネスモデルが作られ、新規参入者もこれに追随するような形になっていると言えます。

ちなみに、香港初の日本のラーメン店は、1980年代の「横綱」というラーメン店だったそうです。

最近は何かと横綱が話題になっていますが、こちらの「横綱」も一度拝見してみたいですね!