アドテク東京2018:今、広告が大事にすべきもの

10月4, 5日の2日間、アドテク東京2018に参加してきました。多くの登壇者が展開されて議論の中から、僕らが気になった議論をいくつか紹介します。

クライアントファーストの広告は届かない

このところ特にインターネット広告の無神経さが目立ちます。デジタルだから、本当に必要な情報をその情報が必要な人にだけ届けられるはずなのに、「ストーカーみたいな迷惑な広告ばかり送られてくる!」ということが起こっているのです。そもそも、デジタルであろうがトラディショナルであろうがクライアント(事業主)の意向(利益や売名行為)ばかりを汲んだクリエイティブは虚構であり、人々の気持ちを動は動かせないのではないか。

– 広告で人の心を動かそうというのがそもそも間違い

– 本当に起こっている(起こった)ことでしか人の心は動かない

– その本当のことをドキュメントにするしかない

これはTeam Labの猪子さん達が、「人の心が動くクリエイティブ」というパネルで話してくれた内容です。これはただ単に興味深いというだけではなく、自分たちエージェンシーが現在やりがちになっていること、すぐにでも変えていかなければいけないことについて、大きなインスピレーションを受けることになりました。利益や売名行為優先で作られた広告やストーリーは真実味に欠けるばかりでなく、自画自賛を助長するだけのつまらないものになってしまいがちなのです。

それに関連した内容としてTranscosmosさんのKeynoteでも広告はスポンサーファーストからコンテンツファーストになったスポンサーはタニマチ*としてワークしてほしいという話がありました。よくできたTVCFを10回視聴するより1回の素敵な体験の方がささるという時代に、スポンサーがタニマチになる。そういう形も増えていくかもしれません。

さらにデジタルとアナログで大事なものを片方だけ選べという面白い議論の中では、データを重視するのはいいけど、アナログな現場での体験を基にして語られないのなら意味がないという提言もありました。データーはマーケターの心強い味方ですが、クラウドやシステムに問題がきたした時には全てがとんでなくなってしまう可能性もあります。

 

デジタル時代のマーケティングチーム編成

もう一つ興味深かった話は、デジタル時代にマーケティングチームの編成はどうあるべきかというものです。つまり

– 企業のマーケティング活動がカバーする領域はますます広くなっている

– 更に、それぞれの場所で、様々なターゲットに合わせて多彩なイニシャチブを素早く展開しなければならない

-結果は素早く分析し、不断に最適化しなければならない

という前提の中で、これを円滑に素早くワークさせていくにはどんなチーム編成をしたら良いのか…。なかなか難しい問題です。昔のようにクリエイティブディレクターがトップダウンで物事を進めていくというような垂直統合型のチームでは太刀打ちできないので、広く社内外から人材を誘致しヒエラルキーを排した円卓型の組織にしなければダメだという議論が吉野家やカルビーなど、名だたる企業の方、エージェンシー出身のパネラーなどからあがりました。

すでにデジタルトランスフォーメンションが推し進められる世界においては

– Coopetiton(競合相手との協業)

– 非対称業界との提携(これまでには関連のなかったような業界との提携)

– ユーザーや隣接業界とのコラボ

– スタートアップとの連携

が進んでいます。マーケティングの現場も、より幅の広い知見を持った才能との共同作業の機会を求めて、あらゆる場所で円卓型のチームがますます増えていくはずです。

 

まとめ

TYAでもこれを進めてCoopetiton(競合相手との協業)ユーザーや隣接業界とのコラボ、スタートアップとの連携など積極的に行っていきます。

カスタマーと事業主の関係はどんどん変わっていきます。新しくなっていくコミュニケーション。日本のみならずアジアにあっても同様です。皆様と一緒にマーケティングのより良い形を考えていければと思います。アジア、香港でのマーケティング、TYAにぜひご相談ください



*タニマチ谷町)とは相撲界の隠語で、ひいきにしてくれる客、または後援してくれる人、無償スポンサーのこと。 現在では相撲界以外に野球界、プロレス界などの他のスポーツ、また歌舞伎界や演歌界を中心に芸能界でも幅広く使われる。ーウィキ