香港は笑わない

香港、過去最高のワースト5位

香港がスマイルミステリーショッパーによるスマイル指数調査で最高のワースト5位に!以前の調査結果からは若干の挽回を図っているものの、所詮、ワースト5位。

 

この理由には、サービス業に従事するワーキングクラスの収入の低さが考えられます。生活に余裕がなく、契約書に書かれた内容以上の労力を提供する余力や義理もないのででしょう。そもそも、日本のように礼儀正しさやマナーの良さそのものが社会の基準であるような国は稀です。日本と比べれば、香港も社会全体で礼儀正しさやマナーは重視されていない方だと言えるでしょう。(なんといってもワースト5位ですから!)なのでそういった教育もないと考えられます。

 

この調査結果の中で特に最低ランクを獲得したサービス業が、交通機関とタクシーでした。特にタクシーのサービスの酷さは友人間でも日常的に皮肉って話題にするほどです。しかし、同じタクシーでもUberの顧客体験はましです。それは評価システムが機能しているからです。通常のタクシードライバーは一度顧客にサービスを提供したらその後の関わりがほぼ全くなくなるのに対し、Uberの顧客はドライバーのサービス態度などをレビューで評価し他の顧客に推薦したりできるので、Uberのドライバーはマナーやサービス態度を気にします。

 

香港でスーパーのビニール袋が有料化された時、一気にマイバックが普及しました。やはりビジネスの街。お金やビジネスが絡んでくれば態度は劇的に変わる可能性があります。接客における「スマイル」に価値を見出さない環境下であっても、それが仕事上評価され、さらなる歳入につながる「自分ごと」になるシステムさえあれば「スマイル」は劇的に増えそうです。

 

これはある意味とても分かり易く、合理的な状況のようにも思えます。

 

South China Morning Post の2015年記事コメントの1つによると、ユニクロ、GAP、MUJIなど香港でも接客対応の評判が良いようです!(3年前から日本企業が高評価…さすがです!)

他のコメントも参考まで。 例えばこの人はロンドンでは上司が販売員の生命線を握っていて売り上げを出しているかないか目を光らせているのでこういう態度は許されないよね、と皮肉たっぷり。

 

この人はトロント(カナダの都市)なんて店員は重要な頼みごとをするかのように「もっと買って!」と接客してる!とコメント。

そしてこの人はセブンイレブンやコンピューターセンターで入店するたび繰り返し耳にする「いらっしゃいませ」「どうぞ見ていってください」といった機械的な呼びかけがとっても嫌だ!とコメント。

最後にこちら。香港は’97年以前からずっとこう。激烈な物質主義と資本主義を繁殖させる都市で、誰が礼儀正しさを培う時間なんて持ってる?


 

 

 

日本の接客対応

サービス業界での接客対応が徹底された日本では、「お客様は神様である」という風潮があります。これは演歌歌手の三波春夫が対談中に「客席にいらっしゃる「お客様(オーディエンス)」を神様と思って心を込めて歌っています。」と語った言葉がいつの間にか接客業で理想的な接客態度を表す言葉として広まったことから始まりました。

 

私も家電量販店でアルバイトをしていた頃は、接客中でなくても笑顔なしで店内にいるとバックヤードによばれて怒られました。「お客様」に聞かれたことは、どんなことでも「わかりません、知りません」は禁句。調べてでも最後まで案内しました。他にも腕を組んで店内を歩く、あくびをする、私語、携帯持ち込みなどもすべて厳禁です。それに比べて香港では全てOK!日本人からしたら香港の接客員の態度はまるで常に休憩中…運が悪ければ一言目から「はぁ?(語尾上がる)」が飛んできます。(寧ろちょっと羨ましいです…)

 

日本の接客員の態度はサービスを受ける側にとってはとてもいいものですが、これを逆手に、神のように丁重に扱われないと気が済まない悪質なクレーマーが増えて問題になっています。顧客からのクレーム対応中、土下座の強要や「殺す」と脅されるといった「迷惑行為」に遭遇したことがある従業員が7割以上にのぼることが、労働組合の調査でわかっています。

 

 

これとは逆に、店員とは顔も合わせたくない、ご愛想の「スマイル」に嫌悪感を感じる人もいます。「スマイル」は確かにやりすぎると不自然ですし、セールスのための下心と考えれば不気味です。丁寧すぎる接客は客を恐縮させかねませんし、素晴らしい接客対応がきちんとお金に還元されている現場なのかという問題もあります。

 

自然でちょうどいい「スマイル」難しい問題です。

 

 

 

これからの接客・サービス業界のスマイル

最近では、「スマイル」接客とは別に、スタッフフリーのコンビニやセルフレジ、進化した自販機、レストランの注文用のデジタルパッド、オンラインレビュー、Amazonなど、生身の人間に代わる様々なデジタルサービスが登場してきています。

これを受けて、今後生身の人間が提供する接客サービスはますます貴重になるでしょう。その時に、本当に顧客のために心を込めて提供される「スマイル」や接客がどんなに素晴らしいものだったのか知ることになるのかもしれません。

 

日本での接客の難しさを見ると一概に「スマイル」や礼儀正しさが顧客満足度や売り上げに直接、絶対的につながっているのか疑問になる部分もあります。また顧客それぞれ多様な文化差異やニーズは「スマイル」だけで超えられないように感じます。

 

しかし、どんな変化があったにせよ、基本的には「スマイル」は人を安心させ、心をオープンにしてくれるポジティブなコミュニケーションであることに変わりはないのではないでしょうか。多くの人が顧客体験として、笑顔での対応を心地よいと感じるはずです。


「スマイル0円」と言っていられるうちは、なるべく気持ちの良い笑顔での接客を受けたいものです。

 

 

 


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