【香港図鑑60】🏙️ 香港摩天楼

セントラルの中心に立つふたつの超高層ビル――

香港上海銀行(HSBC)本社ビル中国銀行タワー
このふたつの建物は、ただの高層オフィスビルではありません。
建築と風水と金融パワーが交差する、香港という都市そのものを象徴する存在なんです。

1985年に完成したHSBC本社ビルは、ノーマン・フォスターによる設計。
鉄骨がむき出しの構造で、建物の中心に吹き抜けがあるという、当時としてはかなり斬新な建築でした。
「透明性」や「開かれた構造」がキーワードだったそうですが、実際に立ってみると、空間の抜け感がすごいです。
しかも風水にもかなり配慮されていて、ビクトリア湾を正面に、背後に太平山(ビクトリアピーク)を背負うという、理想的な配置になっています。

それから5年後、1990年に完成したのが中国銀行タワー。
設計はI.M.ペイ。スッと伸びるシャープな三角形のフォルムに、竹をモチーフにしたデザイン。
「成長」や「繁栄」を象徴する意図が込められているそうです。
ただ、風水的には「尖った形状」は攻撃的な“気”を放つとされることもあり、ちょっとした論争になりました。

それを受けて、HSBC側が屋上に巨大な風水鏡を設置したという話もあります。
「悪い気」を跳ね返すための対抗策だったとか。
本当かどうかはさておき、こういう話が自然と語られるあたり、香港らしいなと思います。

今では、このふたつのビルは、もはやライバルというより共に香港の顔です。
西洋と東洋、伝統と革新、金融と文化。その全部を象徴するような存在。
朝の光を受けて輝くガラスの面、夜に浮かび上がるライトアップ。
見るたびにちょっと背筋が伸びるような、そんな風景です。

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