🧠 AI時代だからこそヒューマンタッチ③〜マーケの種60

(承前)

AIの進化によって、情報の整理や分析、文章の要約や画像生成など、かつては人の手で行っていた作業が、今では瞬時に処理できるようになりました。 特に、データ量が多かったり、構造化しづらい情報を扱う場面では、そのスピードと正確さは圧倒的です。

ただ、その一方で、**「現場の感覚」や「肌ざわり」**のような、数値化しにくい要素については、やはり人間の役割が欠かせないと感じています。

たとえば、ユーザーのちょっとした表情の変化、会話の間に生じる“間”、あるいはSNSの投稿の「言い回し」の変化など。 そうした微細な変化の中にこそ、兆しやインサイトが潜んでいることがあります。 AIはそこに気づく“きっかけ”を与えてくれますが、最後に意味づけをするのは、やはり人間の観察と解釈力です。

だからこそ、AIで作業を効率化した“その後”の時間の使い方が重要になります。 余った時間をただ休めるのではなく、解像度の高いフィールドワークや、普段見逃していた声に耳を澄ます時間にあてること。 それが、AI時代における人間の価値を高める鍵だと感じています。

結局のところ、「AIがあるから楽になる」ではなく、「AIがあるからこそ、どこに人間の工夫を注ぐか」が問われる時代なのかもしれません。

マーケティングにおいても、AIが示す傾向や仮説をそのまま使うのではなく、そこに人間ならではの視点や仮説をかけ合わせることで、まったく新しい打ち手や気づきが生まれる可能性があります。

「ヒューマンタッチ」とは、単なる感情や直感に頼ることではなく、人間が持つ感性や想像力を、どこにどう活かすかを意識すること。 そんなふうに捉えて、日々の業務の中で小さな実験や工夫を重ねています。

AIの力を前提にしたうえで、その“余白”をどう使うか。 それが、これからのマーケティングの質を左右するように思います。(了)