歴史的建造物の保存・活用・再生は、ヨーロッパでは半世紀以上前から、日本でも70年代の始め頃から盛んになりました。一方、香港では80年代後半から徐々に始まっていましたが、政府が開発最優先の姿勢を貫いているため、街の中心部は高層ビルが林立するようになりました。
急速な経済発展に伴い、古い建物が次々と失われてきた香港で、転機になったのは、2006年の香港島と九龍半島を結ぶスターフェリーの皇后碼頭(Queen’s Pier)取り壊しに対して市民達が起こした反対運動でした。香港政府は開発の方針を転換せざるを得ない状況に追い込まれて、2007年「歴史的建造物の保存・活用を推進する方針」を発表しました。現在、約30の大型プロジェクトを計画中です。
そして、市民に歴史的文化財を「集体回憶(集団の記憶)」として残そうという意識が高まってるにつれて、古い建物を改装したレトロな雰囲気が溢れる店舗も人気になって来ました。この写真はセントラルで人気となっているレトロなスターバックスです。
アート複合施設に再利用:
灣仔ブルーハウス(藍屋)
これは青色の外壁で住民から「藍屋」と呼ばれる1922年建造の唐樓です。現在は第一級歴史建築にも指定ました。G/Fにあった酒蔵を改装して、香港故事館(旧:湾仔民間生活館)として昔の香港庶民が愛した日常生活の用品や風貌を伝えています。定期的にコンサートや映画上映、ワークショップなども開催されていて、人気観光スポットになりました。周囲には緑、黄色や茶色など、色とりどりの外壁を持つ古い建物が並び、まるで香港の古き良き時代にタイムスリップしたみたいな雰囲気に浸れることでしょう。
灣仔「Comix Home Base」
2013年誕生した「Comix Home Base」は、1910年に建てられた歴史的建造物で現在は第二級歴史的建造物に指定されています。香港におけるアニメの基地として、パブリックスペースを設け漫画やアニメの各種展示会、イベントなどを行っています。新しい観光名所としても大きな話題になり、世界中のアニメファンの注目を集めていました。しかし、経営難で5年連続赤字になり、去年休業することになりました。今、色々な団体が参加して新しい開発方針を検討中です。
飲食店に再利用:
「和昌大押」The Pawn
1888年に建てられた英国コロニアル建築で元々は老舗質屋でした。現在1階はイギリス料理を楽しめる高級レストラン、2階はバーとなっています。店内の様子はレトロな建物の外観とはイメージが違え、モダンでおしゃれなものになっています。バルコニーに座り、お酒を飲みながら、植民地時代の光景に思いを馳せつつ、眼前の賑やかなナイトシーンを楽しめます。
その他、半島酒店(The Peninsula)、SOHOの西にある元創方(PMQ=旧警察宿舎)、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の1881(1881 Heritage)、茶具文物館(Tea Ware)、藝穗會(The Fringe Club)などの施設も歴史的建造物を活用し、多くの訪問者を集めている成功例です!
まとめ:文化財を活用、新産業を創造
このように、香港では歴史的な建造物を保存・改修し、アート複合施設、飲食店、ホテル、博物館などとして新たに生まれ変わらせるする取り組みが進んでいるようです。「文化砂漠」とよく呼ばれている香港では、金融や貿易以外の伝統産業以外は後回しにされてきました。文化財を後世に残すとともに、アートやイノベーションやクリエィティブ観光業などの発展を促し、地域経済を活性化させる努力をしているようです。ただ、再開発・再利用すればいいのではなく、ビジネスとしての継続性をきちんと考えなければいけませんが、政府、民間、NPOなどが知恵を出し合っていくことで、より良いものが出来上がっていくはずです。香港ではこのような新しいビジネスチャンスも生まれています。香港への進出、マーケティングを検討されている方、ぜひお気軽にTYAにご相談ください!
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