広告を出す際には、「この広告で何を達成したいのか」という目的を明確にすることが重要です。「認知拡大」「購入促進」「好感度向上」など、目的によって広告の内容や配信方法、ターゲット設定が大きく変わります。
しかし、現場で話を伺うと、「認知も拡大したいし、購入も促進したい。さらに好感度も上げて、顧客に深く理解してほしい」と、すべてを同時に実現したいという声を聞くことが少なくありません。
もちろん、これらすべてが重要であることは間違いありません。ただし、それぞれが異なるターゲット層やアプローチを必要とするため、優先順位をつけなければ、結果的にどれも中途半端になってしまうリスクがあります。例えば、「認知拡大」を目的とする場合、ターゲットはブランドや商品を知らない潜在層が中心となるため、広く認知を広げるためのインパクト重視のメッセージや目を引くクリエイティブが必要です。一方、「購入促進」を狙う場合には、すでにブランドを知っている層に向けた具体的なプロモーションや割引情報が効果的です。また、「好感度向上」を目指すなら、ブランドの価値観やストーリーを伝える感情的なアプローチが求められます。
しかし、多くのケースでは「認知も理解も好感も購買も全部欲しい」となりがちです。このように複数の目的を一つの広告で達成しようとすると、ターゲットがブレてしまい、結局どれも効果が薄くなる可能性があります。たとえば、まだブランドを知らない層にいきなり購入を促す広告を見せても反応は薄いでしょうし、既存顧客に認知拡大を狙った広告を見せても「知っている情報ばかり」と感じられるだけです。
こうした状況を避けるためには、優先順位を明確にし、目的に応じて段階的に戦略を切り替えていくことが大切です。たとえば、ブランドを立ち上げたばかりの段階では「認知拡大」を最優先し、一定の認知が得られたら「購入促進」にシフトする、といった流れが考えられます。目的を絞ることで、広告の効果を最大化し、結果的にすべての目標を段階的に達成する道が開けるのです。