「広告成功の公式:具体×抽象」③~マーケの種55

抽象と具体が噛み合わないとき、ブランドはどうなる? 🥤⚠️


🧩 「平和や調和」という抽象テーマの扱い方

Pepsiのある広告キャンペーンでは、「平和」や「調和」といった抽象的で普遍的な価値をテーマに据えていました。 しかしその表現方法は、多くの視聴者の期待を大きく裏切るものとなりました。

広告内では、抗議デモの最中に登場したモデル(ケンダル・ジェンナー)が、警察官にペプシを手渡すことで場の緊張が和らぐというシーンが描かれます。 一見、シンプルで前向きな演出のように見えますが──

実際には、

「現実の社会問題を軽く扱っている」 「深刻な抗議活動を安易に利用している」

といった批判が殺到。 視聴者からの強い反感を受け、広告はすぐに取り下げられる事態となりました。


💡 失敗の本質:「平和=ペプシ」の関連性の薄さ

この広告が失敗した一番の理由は、抽象テーマと具体表現のあいだに説得力のあるつながりがなかったことです。

「平和」や「対話」といった価値観は、現代社会において非常に重要なテーマです。 しかし、そのようなテーマを扱うには、十分な理解と敬意、そして慎重な演出が求められます。

Pepsiの広告では、「平和=ペプシを渡す」という構図があまりにも短絡的で、視聴者にとってリアリティのないものに映りました。 このように、抽象的な価値を浅く具体化すると、メッセージが軽くなり、かえって逆効果になることがあるのです。


🔍 抽象を扱うときの落とし穴とは?

抽象概念をテーマに広告をつくること自体は悪いことではありません。 むしろ、ブランドとしてのビジョンや価値観を伝える上で、抽象的なテーマは重要な役割を果たします。

しかし、それを具体的な表現に落とし込むプロセスで注意が必要です。 視聴者が共感し、「これは自分のことだ」と感じられるようなストーリーやビジュアルでなければ、一方的で押しつけがましい印象を与えかねません。


📘 この失敗から学べること

Pepsiの事例から得られる教訓は明確です。

抽象テーマは深く掘り下げること。具体表現がそのテーマをしっかり支えているか、常に問い直すこと。視聴者にとっての「自分ごと」になるような構成を心がけること。

抽象と具体がかみ合わない広告は、メッセージが空回りし、ブランドの信頼を損ねる可能性があります。 逆に、それらがうまく連動すれば、強く心に残る広告に仕上がります。


✅ 次回:「成功した広告に見る、抽象と具体の黄金バランス」へ!

次のセクションでは、視聴者の共感を呼び、ブランド価値を高めた成功例を取り上げながら、抽象と具体をつなぐ広告表現のヒントを解説していきます。 失敗と成功、その違いはどこにあるのか。 ぜひご期待ください!

(続)