【マーケの種054】 「広告成功の公式:具体×抽象」②──Appleとどん兵衛に学ぶ

「広告は、具体と抽象を行き来する言語芸術である」 ……そんな言い方をすると少し大げさですが、成功する広告のほとんどが「抽象的価値を、具体的に伝える」構造を持っているのは事実です。 今回はその代表的な成功例として、Appleと日清の広告を見てみましょう📺📱🍜

🍏 Apple「Privacy on iPhone」──“公園でのひそひそ話”が語ること

Appleの「Privacy on iPhone」シリーズでは、「プライバシー保護」という抽象的な概念を、日常の何気ないシーンで描いています。 たとえば、公園で友人とこっそり話す、カフェでスマホを伏せる、知らぬ間に位置情報が共有される── そんな「あるある」な不安を、iPhoneの機能とともに丁寧に描写。 結果、「プライバシー=iPhone」というブランド価値を“自分のこと”として納得できる構造になっているのです🔒📱

🦊 日清「どん兵衛×きつねダンス」──抽象価値の“踊らせ方”

一方、日清のどん兵衛は、「親しみやすさ」「楽しさ」「ユーモア」といった抽象的な価値を、流行の“きつねダンス”と組み合わせて可視化しました。 「きつねうどん」という商品名と、ポップで踊れる“きつね”の動きが重なり、視覚的にも感情的にも“つかみやすい”広告に仕上がっています。 つまり、「親しみやすいブランド」という抽象テーマを、**今のトレンドと結びつけて“踊らせた”**のです🦊🎵

🧠 抽象を“自分ごと”に落とし込めるか?

共通するのは、どちらも「抽象的価値に説得力がある」だけでなく、それを視聴者の生活や感情に紐づけた具体表現に落とし込んでいる点です。 広告は、ただ価値を叫ぶだけでは届きません。 それを“どんな場面で?どんな気持ちで?”と視聴者に想像させる**“翻訳”の構造**があるかどうかが肝です。 抽象を自分の文脈で受け取れる広告は、「あ、わかる」「それ、私だ」と思わせるちからを持っています。
💡次回は、この「具体×抽象」がうまく機能しなかった例──つまり“失敗例”を取り上げながら、広告が陥りがちな罠について考えてみます! (続)