【マーケの種30】エージェンシー向けブリーフィング(1) – 情報共有の不備が生む課題

 香港のマーケティング現場において、ブリーフィングの不備は顕著な課題の一つ です。特に競合プレゼンの場面では、クライアント側から**「クリエイティブな提案を期待する」** という要望が出されるものの、その背景となる情報が十分に共有されないケースが少なくありません。

たとえば、現状の市場環境、ターゲット層のインサイト、ブランドの課題、過去の取り組みとその成果、そして今回のキャンペーンで特に注力すべきポイント など、戦略的な判断に必要な情報が欠けたまま、「自由に提案してください」 と求められることがあります。さらに、予算の上限が不明確なまま話が進む こともあり、エージェンシーとしてはどこまでのスケール感で構想を練るべきか迷うことになります。

📉 ゴールが示されなければ、スタート地点すら定められません。明確な課題や目標が共有されないまま、「とにかく斬新なアイデアを」 と投げかけられても、方向性が定まらず、結果的に中途半端な施策 になりがちです。さらに、そうした不明確なキャンペーンは、振り返りの段階でも具体的な評価基準が欠けるため、成果が測りにくく、次の改善点を見出すことが困難 になります。

このような状況が続くと、結果として**「なんとなく実施されたキャンペーン」** が繰り返されることになります。そして、前年と同じような課題に再び直面し、問題の根本解決がなされないまま、同じサイクルが続いてしまう という悪循環に陥るのです。

企業とエージェンシーが真に協力し合い、施策の成果を最大化するためには、ブリーフィングの段階で十分な情報共有を行い、目標や期待値をクリアにすることが不可欠 です。こうした課題をどう打破できるのか、次回さらに掘り下げていきます。(続)