いつの時代も、人々の言葉はその時代の雰囲気やモードをはっきりと映し出します。今年流行した言葉を日本のユーキャンが実施している*(1)「ユーキャン新語・流行語大賞」と上海の語言文学雑誌「咬文嚼字」編集部が発表した中国の2018年「流行語トップ10」、Yahoo香港が発表した「2018年Yahoo捜索人気ランキング」からいくつかをピックアップして2018年を振り返ってみようと思います。まずは前編(中・香)の流行語をみてみましょう!
1、中国2018年「流行語トップ10」ピックアップ(意味説明)
「錦鯉」
支付宝(アリペイ)が公式微博(ウェイボー)アカウントで、書き込みを転載して抽選に当たれば「中国錦鯉になれる」というキャンペーンを実施し、この書き込みは300万回以上転載されました。当選して「中国錦鯉」となった人々には、世界中から集められた豪華商品がプレゼントされました。ここから「錦鯉」が「幸運」の象徴となり、その後、この話題が盛り上がりを見せる中で、「錦鯉」は次第に強運の持ち主も指すようになっていきました。
「巨嬰」
巨大児、精神年齢が赤ちゃんで止まっているような大人のことを指します。こうした「巨大児」たちは、自己中心的で、ルールを守る意識に欠け、モラルもありません。そして、予想外のことが起きると、感情をコントロールできなくなり、過激で非理性的な行動に出て、社会に「災難」をもたらす、恐ろしい存在、「巨嬰」に豹変します。
「退群」
SNSグループチャットから脱退するさいに使用された言葉でしたが、使用範囲が広がり、大きなグループ、例えば「世界貿易機関(WTO)」などから退会する場合にもこの言葉を用います。それからニュースや報道でもしばしば使われる流行語になりまた。
「杠精」
「杠」は「揚げ足取り」を意味し、「精」は「精霊、妖怪」を意味します。この言葉はへそ曲がりの人を指します。「是非」や「真相」はどうでもよく、要点のずれた屁理屈を言ってなんにでもケチをつける厄介な人のことで、匿名でインターネット掲示板やチャット、レビューなどへのネガティブな書き込みを続ける人などを表現するために生み出されて、広まりました。
「衝鴨」
「衝呀」の発音と同じ、元気を出して、前向きに走ろうという意味。「鴨」(YA)の発音をかけていろいろな組み合わせで使われています。例えば、感到壓力(感到鴨力)ストレスに負けないで頑張ろう、など。一気にネット上で人気になりました。
2、香港2018年潮語(意味説明)
「係愛呀?定係責任?」「係窮呀!」
元ネタは、台風の日にも一生懸命に働いた人に「何のためにこんなに努力しいてるの?愛のため?それとも責任があるから?」とメディアがインタビューをした際、「どっちでもなくて、貧乏だからだよ!」と答えた労働者の発言からです。大変な生活現状を自嘲しているような表現で人気になりました。さすがイギリスの統治区だっただけあってシニカルですね!
「佛系(日本では仏系と表記)」
中国、台湾でも人気用語。争いごとを好まず、勝ち負けを気にせず、損得を計算しないなど、物事にこだわりがなく、全てのことに淡泊で、どんな環境・境遇にも安んじる!!という悟りきったライフスタイルのことを指します。そこからネット上で「仏系」という言葉が瞬く間に話題となり、「仏系青年」、「仏系恋愛」、などの言葉も次々生まれました。ちょっと前に日本でも「草食系」「弁当男子」などと言う言葉が飛び交いましたね。また、以前取り上げた携帯ゲームアプリの「旅かえる」も仏系ゲームとして人気がありました。
「食雞」
PlayerUnknown’s Battlegrounds(PUBG)という大人気ゲームのこと。勝った場合、「大吉大利,晚上吃雞。」(Winner Winner, Chicken Dinner)という台詞が出てくるのでこの言葉が人気になりました。
「666」「Skr」
666、Skrは中国からきた流行り言葉。666は日本での888の(パチパチパチ)と読んで拍手を表現するように、666(リュリュリュ)は(牛牛牛)の音から、すごいを意味します。SkrはもともとHip-popからきた言葉で、色々な使い方があるそうですが、すごい、感心!などの意味で使われることが多いようです。中国では以前から親しまれていた言葉なんだとか。中国のメディアに親しんでいる香港の若者を中心に広がっている言葉のようです。
4、まとめ
近年、流行語はもはやネットユーザーがチャットするときにだけ使うような若者言葉だけではなくなり、一般の人々の日常生活にまでより広く浸透しているようです。また、日本の「草食系」と「仏系」の指す若者の思想はほぼ同じように見受けられます。1つの流行が起こった際にその流行が他の地域や国に与える影響の時差はますます短くなっているのではないでしょうか。後半には日本の流行語もチェックしていきます。
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*(1)「ユーキャン新語・流行語大賞」この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。