【香港図鑑22】誠品書店が変えた香港の「本」事情


2012年、誠品がやってきた!📚

2012年、台湾発の誠品書店が銅鑼湾にオープンしました。これ、香港の「本」事情にとって非常に大きな転機だったのではないでしょうか。それまでの香港を振り返ると、書店事情はかなり厳しい環境だったように思います。

まず、家賃の高さです。これが原因で独立系書店はほとんど姿を消していました。そして、大型チェーンの本屋があったとしても、売られている本の中心は実用書や参考書ばかり。文学やアート系の本を探すのは一苦労でした。もしかしたら、「香港人は本を読まない」と言われていたのも、こうした背景があったからではないでしょうか。

でも、誠品書店が登場したことで、実はそんな言葉が誤解だったのでは?と思うようになりました。


文化不毛と言われた香港、その裏に潜む潜在需要

誠品書店が香港にやってきたとき、多くの人が驚いたのではないでしょうか。「文化不毛の地」とまで言われていた香港に、こんなにも本格的な本屋ができるなんて。私も初めて誠品を訪れたとき、その広々とした店内と文学やアート系の本の豊富さに感動したのを覚えています。

それまで「香港人は本を読まない」と言われていましたが、実際には供給がなかっただけだったのではないでしょうか。誠品に訪れた多くの若者や文化好きの人々が、嬉々として本を手に取っている姿を見ていると、そう思わざるを得ませんでした。潜在的な読書需要は確かにあったのだと思います。


誠品が作った“新しい空間”

誠品書店の特徴は、単なる本屋ではないところにあると思います。それは、文化やライフスタイルを融合した空間そのものが魅力だからです。これまでの香港の本屋は、どちらかといえば「本を買うだけの場所」でした。けれど、誠品はもっと違うアプローチを取っています。

広くて洗練された店内。閲覧スペースやお茶が楽しめるコーナー。そして、デザイン性の高い文具や雑貨が並ぶ空間。こうした要素が、本を読むという行為そのものを「豊かな体験」に変えているように感じます。私は、これが誠品書店の素晴らしいところではないかと思っています。


誠品が香港にもたらしたもの

誠品書店が香港に登場したことで、確実に変わったことがあると思います。それは、香港人が「本を読む」という行為を再び見直すきっかけになったことではないでしょうか。文化的な空間が、本好きの人々を引き寄せ、そこに集うことで「読書」という行為が新しい価値を持ち始めたのだと思います。

もちろん、これがすべての香港人に刺さったわけではないでしょう。でも、少なくとも本好きや文化に興味のある人々にとって、誠品は象徴的な存在になったのではないでしょうか。そして、それは香港の文化的な未来にとって、大きな一歩だったと私は思います。

もしあなたが誠品書店を訪れるとしたら、どんな本を手に取りますか?それとも、本を選ぶ前にまずお茶を楽しむのでしょうか。📖☕