最近、日本の成人喫煙率が14.8%にまで低下したというニュースを目にしました。数字として見るとかなりの減少ですが、香港の現状と比べると、意外にも日本より喫煙者が多い印象を受ける方も多いかもしれません。
というのも、香港の街を歩いていると、道端やビルの裏手、公園の片隅など、あちこちでタバコを吸う人を目にします。特に朝やランチタイム、仕事終わりの時間帯には、オフィス街のビルの隅に喫煙者が集まっている光景もしばしば。ですが、実際のところ、香港の喫煙率は10%を下回っているとも言われています。目立つ場所で吸われているせいか、実感としての“多さ”と統計との間にギャップがあるようです。
香港でも分煙や禁煙の流れは着実に進んできました。オフィスビルの屋内は全面禁煙、飲食店も禁煙が基本です。当初は「ビジネスに影響が出る」として猶予期間が設けられた飲食店での禁煙措置も、最終的には施行されました。今でもオープンスペースでは喫煙可能な場所もありますが、アイリッシュパブのような一部の施設も、本国と同様に全面禁煙となっています。
こうした規制の背景には、各国共通の課題である高齢化社会への対応があるのでしょう。医療費を抑えるには、病気を「治す」前に、「予防する」ことが求められます。タバコの場合は副流煙による非喫煙者への悪影響も避けられず、公共の場での喫煙制限は今後も続いていくと考えられます。もしかすると、この規制の流れはタバコからアルコール、さらには清涼飲料など、他の嗜好品にも広がっていくかもしれません。
とはいえ、香港の喫煙マナーにはまだまだ課題も。
個人的に不思議なのは、吸い終わったタバコの火を消さずに捨てる人が多いことです。街のゴミ箱に設置された灰皿からはいつも煙がもくもく。道端にポイと捨てられたタバコも、火がついたままのことがよくあります。火災にならないのが不思議なくらいで、ペットボトルの水を持っていたら「ついでに消してあげたくなる」…そんな気さえしてしまいます(笑)。
喫煙者にとって、吸う場所が限られるのは確かに不便でしょうが、公共空間でのマナーや安全面の配慮は、これからますます問われていくのではないでしょうか。街を歩いていて感じる、そんなちょっとした違和感もまた、「都市の変化」のサインなのかもしれません。
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