【香港図鑑43】レンタル自転車

自転車はいい。風を切って走るのは気持ちがいいし、ちょっとした移動にも便利だ。ペダルを踏み込むたびに、自由になったような気分になる。しかし、香港の街中では全く使えない。道は狭すぎるし、人も多すぎる。ちょっと気を抜けば、三人や四人くらいは簡単に引っ掛けてしまいそうだ。

歩道も決して広くないので、うかつに自転車で走ろうものなら、あっという間に行き場を失う。ヘタをすると、立ち往生してしまうかもしれない。

それに、もしハンドルさばきの下手なドライバーが、「リンリンリンリン!」とひっきりなしにベルを鳴らしながら突っ込んでくるような街だったら、想像するだけでゾッとする。そんなカオスな状況にならないために、香港では自転車が街中の移動手段として根付かなかったのかもしれない。冷静に考えると、それはそれで正解だったのだろう。

離島や郊外なら話は別

ただし、離島や少し郊外に行けば話は違う。ここでは、自転車が本領発揮する。たとえば、**長洲(チャンチャウ)や南丫島(ラマ島)**のような、車がほとんど走らない島では、自転車がむしろ最適な移動手段だ。道幅もそこそこ広いし、なにより車がいないので安心して走れる。ちょっと坂道を登れば、海が一望できる気持ちのいいコースもある。

レンタル料金も手頃だ。だいたい1時間20香港ドル(約400円)くらい。ちょっと乗ってみようかな、と思ったときにちょうどいい価格設定だ。
ただし、デポジット(保証金)として200ドルくらい別途で必要なことが多い。以前は、「こんなボロボロの自転車にデポジット取るの?」とツッコミたくなることもあったが、最近はどこも新しい自転車を入れているようで、だいぶ快適に乗れるようになった。

レンタル自転車で巡るのも悪くない

街中では無理でも、郊外や離島なら十分に楽しめる。短時間の観光でも、徒歩より行動範囲がぐっと広がるし、風を受けながら走るのはやっぱり気持ちがいい。
特に、天気の良い日には、レンタル自転車を借りて、少し遠くまで足を伸ばしてみるのも悪くない。海沿いをゆるゆる走ったり、小さな村を抜けたり、思わぬ景色に出会えることもある。

ただし、調子に乗って乗り回していると、思った以上に疲れるので注意が必要だ。帰り道で足がガクガクになり、結局フェリー乗り場まで自転車を押して歩く……なんてことも。

体力配分を考えながら、のんびり楽しむのがコツだ。

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