香港の街を歩いていると、ふとした場所に「推し活」の熱気を感じることがあります。地下鉄の改札前やバス停、ショッピングモールの一角。なにげない場所に、アイドルの誕生日を祝う広告が出ていたり、スクリーンに映る映像をじっと眺めている人たちがいたりします。
以前、女性グループのメンバーの誕生日広告を見かけたときも、その前で写真を撮っているファンの姿がありました。でも、Mirrorの姜濤(Keung To)くんに関しては、次元が一段上がったような印象を受けます。誕生日月になると、街のあちこちが彼のビジュアルで埋め尽くされ、ファンの人たちがまるで聖地巡礼のように撮影スポットをまわっているのです。
彼が映し出されるモニターの前には、10代の学生から50代くらいの女性まで、いろいろな年齢層のファンが集まっています。中には、ぬいぐるみやアクリルスタンドと一緒に写真を撮る人もいて、それがもうすっかり“普通の光景”になっています。はたから見ても、誰も驚かないし止めもしない。まるで街の風景の一部になっているようです。
推しを応援するという行為は、たぶん昔からあったものですが、SNSやデジタルサイネージの普及で、その表現の仕方がどんどん可視化されてきたように思います。広告を出すという行動ひとつとっても、ファン同士がクラウドファンディングでお金を出し合い、場所や期間を調整して、ちゃんと運営しているのです。その熱意と行動力には、ただただ感心してしまいます。
街のなかで、誰かが誰かを静かに応援している。
それが日常の風景として根づいているのは、ちょっといいな、と思います。
癒やしとか、励ましとか、そういう言葉に変換せずとも、見ているだけで伝わってくるものがあります。
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