このタイトル「香港製造」は日本語で「香港製」という意味で、映画のタイトルとしても利用されています。映画は20年の時を経てデジタルリマスター版で蘇り、FAR EAST FILM FESTIVAL でもピックアップされ、今年の3月から9月にかけて劇場で順次上映されています。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
さて、香港の主要産業といえば観光業、金融業、不動産業、貿易業で、香港のGDPの90%(※)がサービス業です。映画産業も香港の代表的な産業のひとつです。それにひきかえ製造業は全体の7.2%(※)ほどで、物資のほとんどは輸入に頼っています。香港で創業した会社は、ほとんどが土地や人件費の値上がりなどにより、製造拠点を中国へ移し本社だけを香港に残しています。そんな中でも「香港製」にこだわり、香港人に長年愛されている製品がどう現在のマーケティングを活用しているかを見ていきたいと思います。今回はまず最初に「紅A」というブランドを紹介していきます。
<特別な紅色>
香港では誰もが一度は手にしたことがある「紅A」ブランドのプラスチック製品は、1949年設立の星光實業有限公司が製造していて、香港内では業界最大のプラスチック製造会社です。
会社のロゴが赤色のAなので「紅A」として親しまれていますが、その秘密はその赤色そのものにあります。既存のカラー見本を使用せずにオリジナルで独特の赤色を調合しているため、より鮮やかでシャープな、オリジナルの「紅」色のプラスチック製品を作ることが可能なのです。
<人気の商品>
「紅A」の商品の中で、プラスチックの書類ケースのような形の「落としても割れない、踏んでも潰れない、座れるスクールバッグ」も有名ですが、非常に人気があったのは「水晶」というランプシェードです。この特徴的なランプシェードは60年代のイギリスの鉄製ランプシェードの形が美しかったことから製造に至りました。今でも街市などでたくさんみることができ、まさに「香港的な街づくり」に一役買っているような存在です。
使ってみると、灯をつけた時に、プラスチック板がキラキラと光を反射し、ランプシェードがまるで水中を泳ぐ金魚の尾ひれのように美しくきらめきます。この商品は古き良き時代の「レトロ香港」を演出する商品として今もサイトで「Hot Item」としてフューチャーされています。
<時代と共に>
一方で、「紅A」はリビング用品、台所用品、飲食店向け、文具、工業用途など、さまざまなシーンで使える製品も香港内の工場で生産しています。時代の変化に合わせて商品のデザインもモダンになり、アイフォンケースのデザインを人気のイラストレーターとコラボレーションするなどして工夫を凝らし、その取り組みがますます香港の人々の好感を得ているようです。そして象徴的だったのが「webサイト」の改善やFacebookの活用。この「紅A」オーナーは3代目の30代の若い女性。Facebookで製品の強度を試すために、ちょっと笑える動画を作ってみたり工夫を凝らしています。現在のフォロワーは11,000人。
<まとめ>
100%香港で作られた「香港製」のブランド「紅A」をご紹介しました。香港には世界中のファッションブランドが出店しており、食料品や日用雑貨など世界中の物が手に入ります。海外から来る旅行者が香港へ来て買うものは他国で製造されたものばかり、「香港製」であることはあまり求められていません。安価な「中国製」、信頼のおける「日本製」、では「香港製」とは何でしょうか。
今も昔も時代に翻弄され続ける香港という土地で、「香港製」には香港人としてのプライドが垣間見える気がします。だからこそ今後も香港人に支持されるよう、資産を最大限活かしながらも「新しい香港人の生活スタイルに合ったデザインや新しいマーケティング調整」が必要です。
香港には良い商品を作っているのにweb サイトがなかったり、2カ国語になっていなかったり、レスポンシブ サイト(多種類のモニター環境に対応したサイト)になっていなかったりと、残念な状況が未だにあるように感じます。マーケティングにお困りでしたら、是非、TYAに問い合わせくださいね!
※データの参考リンク:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hongkong/data.html
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