日本は今、香港の若者にどう受け止められているのだろうか?
香港に来て数ヶ月弱で偶然に、日本文化に興味を持つ若い香港人に出会ってきた。彼らは私が日本人だとわかると日本についての意見や習得した日本語のことなどいろいろ聞かせてくれた。
その中の一人がワーキングホリデーを検討していたので、先日、願書作成を手伝った。香港から日本へのワーキングホリデー枠は、2016年に年間の査証発給枠が250名から1,500名に拡大されているが倍率は2013年で3倍ほど。決して低くない。
彼女はどこよりも、日本に特に惹かれ、日本のクリエイティブやエンターテイメント、社会マナーや礼儀作法、相手を思いやる文化に言い切れない尊敬の念があると強調した。香港にはない真面目さや礼儀正しさを日本で学びたい、と。
彼女は日本で働きたい反面、正直な所、日本の社会マナーを学ぶのはやや面倒であり、半強制的な長時間労働が嫌だとも語った。株式会社ジェネックスソリューションズの分析によると、日本で働く12%の外国人が最初の1ヶ月で離職する傾向にあるそうだ。原因は言語の壁や働きがいというだけでなく「日本文化の理解」だという。
また、2年ほど日本で働いた事のある香港人の知人は、女性労働者に対して公平な労働環境がないと口にした。英エコノミスト紙の収集したデータGlass-Ceiling Indexに基づくと日本での女性の労働環境は世界でワースト2位。
プレミアムフライデーなどを取り入れ、国内労働環境の改善を急ぐ日本だが、海外の優秀な人材を呼び寄せ、また継続して日本で働いてもらうにはまだまだ改善の余地がありそうだ。
またある香港人はどうして日本のようなストレスの多く厳しい社会で、高品質なものづくりや独自の文化を醸成できるのか不思議で、興味深い。という。
香港の若者が見ているのは流行やビジネスだけではない。
日本の文化的な遺産、伝統、社会マナー、そこから生み出される独特なもの全て。香港人が成功への絶対的な価値観としてきた「お金」ではない別の価値観。日本の最新流行をビジネスのチャンスとして捉えながらも、決してお金で輸入できないもの。
香港の若者は物質的なものの向こう側にある、日本の土壌そのもの、社会の在り方を見つめているのではないか。それは香港の若者が今まさに捉えようとしている香港のアイデンティティにも似たものなのではないだろうか。
高度成長期を経て90年に日本が見せた経済発展の姿勢がある意味、彼らの手本になったのだとしたら、次に日本が香港に見せてくれる姿勢はどういったものなのだろうか。
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株式会社ジェネックスソリューションズ,外国人従業員の離職データ:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000011390.html
Glass-Ceiling Index:
http://www.economist.com/blogs/graphicdetail/2016/03/daily-chart-0