香港図鑑(8)【ゲリラ広告】

香港では、閉店した店舗のシャッターを使ったポスター広告が大っぴらに展開されています。旺角、油麻地、銅鑼湾といった商業地を中心に、実に1000以上のスペースが確保されており、深夜に張り替えを行う専属のスタッフネットワークまで存在します。

この広告手法は公には認められていませんが、音楽コンサートの告知や美容系ビジネスなどが頻繁に利用。その規模や効率性の高さから、時にはメジャーなブランドがイベント告知目的で活用することもあります。実際、うちのお客さんもこのシャッター広告にすごく興味を示しています。

罰金は数千ドル(数万円)程度と比較的軽いので、「やったもの勝ち」と考える人も多いようです。どことなく日本の公職選挙法を思い出します。規定がややあやふやなため、グレーゾーンを突いて少し狡い手法が使われることもある、あの独特の雰囲気に似ている気がします。(笑)

さらに、これらシャッター広告は通行人や地元住民の目に留まりやすく、香港独特のストリートカルチャーの一部とも言える存在です。深夜の静まり返った街中で、スタッフが手際よくポスターを張り替える様子は、まさに香港の「見えないビジネス」の一端を垣間見る瞬間です。

一見派手さはないものの、街の景観や情報発信に影響を与えるこのゲリラ広告。罰金を気にせず展開される姿には、香港らしい逞しさとしたたかさを感じます。