【マーケの種71】 「ブランディングはどのくらいの期間行うべきか?」

「ブランディングはどのくらいの期間行うべきか?」

という質問を、よくいただきます。

この問いの背景には、「いつまで続ければ効果が出るのか?」とか、「ある程度やったら完了するのか?」という気持ちがあるのだと思います。ですが、答えはとてもシンプルです。「ずっと取り組むべき」なのです。

ブランディングとは、何か特別な広告キャンペーンを打つことでも、SNSで映える投稿を続けることでもありません。もちろん、それらも手段のひとつではありますが、本質はもっと地道で、もっと長い時間をかけて築くものです。

たとえば、あるパン屋さんが「町に愛されるお店になりたい」と考えたとします。おいしいパンを作ることはもちろん、ロゴや店構え、スタッフの対応、SNSでの言葉選び、値段のつけ方、季節ごとの工夫。どれもが「らしさ」をつくり、伝えていく要素です。

そして、それは一度つくって終わりではありません。季節が変わり、客層が少し変わり、自分たちの考え方も揺れたり深まったりするなかで、ブランドの表現も少しずつ育ちます。だから、ブランディングは「続けるもの」なのです。

むしろ、“どのくらい続けるか”というより、“どう付き合い続けるか”を考えるのがポイントかもしれません。ブランドは人間関係のようなものです。信頼を得るには時間がかかりますし、油断すればすぐに不信感が積もります。日々の積み重ねが、大きな信頼につながるのです。

もちろん、ブランディングに必要な取り組みや方向性について、社内で共通理解を持つことはとても重要です。目指す姿や価値観がずれていると、発信するメッセージにもブレが出てしまいます。

ブランディングとは、「自分たちが何者でありたいのか」を問い続ける作業でもあります。だからこそ、短距離走ではなく、じっくりと取り組む長い旅のようなものなのです。