中国がエンターテイメントコンテンツの整備と、その拡大を進めています。今までは偽物でもコピーでもなんでもござれだった中国のコンテンツ市場。これが真剣に本物のエンターテイメントをビジネスにしようと動き出した事は、香港や日本にとってどんなポジティブな、そしてネガティブな影響があるのでしょうか?早速、見てみましょう!
<中国のエンタメ産業の拡大>
中国政府の海賊版の取り締まりや著作権を保護する政策の展開のため、映画、アニメ、音楽、ドラマやゲームなどの中国エンターテイメントコンテンツ市場規模はどんどん伸び、直近のデータによるとその収益は約50兆円とも言われています。
特に2015年頃から海外エンターテイメントコンテンツの購入や共同制作の大ブームになっていて、日本の各業界も中国というビッグマーケットでのビジネスチャンスを見過ごせなくなってきています。これはどの国にとっても同様の状況で、香港でも映画業界のビジネスが本土へ拠点を移したり、中国との共同制作番組やドラマなどを制作する事が業界にとって大きなビジネスチャンスとなっています。
<香港のエンタメ産業、救世主は中国?!>
中国との共同制作には表現に規制がかかるものの、香港のオーディオビジュアル産業は、経済貿易緊密化協定(CEPA)によって中国本土のエンターテインメント市場への優先的進出権を得ています。このため香港で共同製作された映画やテレビ番組は本数の制限なく中国本土で展開できるようになっています。
同時に、「当該作品の主要関係者*の 50%以上は香港の住民でなければならない。」などの香港側への配慮も十分窺われます。これからの香港の映画やエンターテイメント産業は、中国との共同制作などの中国マーケットで大きく収益を伸ばしていくことが予想されます。
<日本のエンタメ産業の救世主も、中国?!>
一方日本では、中国人観光客の爆買がまだまだ話題になっていますが、中国大手IT会社「テンセント」「ビリビリ」「YOUKU」なども日本の企業からエンターテイメントコンテンツを爆買いしているようです。
多くの海賊版の日本アニメを見て育った中国人には、今のような急成長している中国のエンターテイメント産業は想像もつかないほどでしょう。
しかし日本は「日本のエンタメコンテンツを爆買いか、中国もまだまだだな」などと高をくくってもいられません。なぜなら、これによって人手不足であったり、財源不足で窮地に立たされている日本のアニメや漫画業界が返り咲く可能性もある反面、将来的に、有能な日本のクリエーターは皆中国に買収され、日本独自の圧倒的ドメインだったエンターテイメント分野は中国へ、その座を譲らなければいけない状況になってしまうかもしれないからです。
<まとめ>
メガブランドがローカルブランドや伝統的産業を飲み込んでしまうといった現象はグローバライゼーションによって各地で起こっている現象ですが、香港の映画産業や日本のアニメ・ゲームなどのエンターテイメント産業は偉大な知的財産です。
今が中国のエンタメ産業へ参入する大きな機会でもありますが、飲み込まれないよう、しっかりとしたリサーチやプロジェクトの主権確保など、交渉にはしっかりとした舵取の準備が必要です。ご相談はTYAまでお気軽にどうぞ!
(*主要関係者とは監督、脚本家、
主演男優、主演女優、助演男優、助
演女優、プロデューサー、撮影監督、
編集者、美術監督、衣装デザイナー、
アクションコーディネーター、サウ
ンドトラック作曲者などを含む)