天文台の仕事は大変だ。予報が当たれば当たり前で誰も褒めない。外れればボロカスに叩かれる。特に香港天文台は、年に数回襲来する台風の警報で、社会に混乱をもたらさないよう細心の注意を払わなければならない。
台風警報は「シグナル1」から始まる。これは台風が近づいていることを知らせる軽いアナウンスだ。その次が「シグナル3」。これが出ると学校は休校、市民には一層の警戒が呼びかけられる。そして「シグナル8」が出れば、基本的に交通機関が停止(ただし地下鉄や一部のバスは例外)し、市民は外出を控えるよう求められる。
天文台はこのシグナルの切り替えを早めに予告する。例えば「午後3時頃にシグナル3、夜7時頃にシグナル8」という具合に。これをしないと、出勤や退勤の判断ができず混乱を招くからだ。一旦シグナル8が出ると、数時間から半日は解除されない。前日の夜に「明朝5時にはシグナル8になりますよ」と通知されれば、みんな安心して朝寝坊ができる。日本のように線路を歩いてまで出勤するような無茶はしない(古い話かもしれないが)。
ただし、台風が夜の間に勢力を弱めると「休める!」と思っていたのに、朝起きたらシグナル3に下がっていた、なんてことも起きる。こればかりは天文台のせいではないのに、文句を言われてしまうのだ。
なお、シグナル8が解除された場合、「解除後2時間以内に出社する」というガイドラインが用意されている。この合理的な仕組みも香港らしい。
天文台で働く皆さん、いつもお疲れ様です。
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