【マーケの種159】お茶づくりに見る、日本の手間とブランド力(1)

茶畑で背負い式の送風機を使い、茶葉の上の落ち葉やゴミを吹き飛ばす農作業中の人物

──40年が生む味、1年が整える香り──

先日、福岡県八女市を訪れ、茶摘みの準備現場を見せてもらいました。整然と広がる茶畑の美しさに、まず圧倒されました。お茶の木は、地面から約50cmに高さを揃えて管理されます。そこまで育つのに必要なのは、じつに40年という時間。

人の仕事のスパンではなく、自然とともに積み重ねてきた“世代の時間”でようやく整う景色です。このスケールの大きさが八女茶の深みにそのままつながっているのだと感じました😊

さらに、お茶づくりは年単位の段取りの積み重ねでできています。前年の秋には、茶の木の上から約10cmを刈り取る「秋整枝」という作業が行われます。これは翌春の新芽を均一にそろえるための、いわば“未来の味を整える仕事”。自然に合わせながらも、味や品質を安定させるために人ができることを丁寧に積み上げていく——この手間こそ、日本茶のブランド力の源泉だと実感しました。

そして、刈り取り直前にはさらに緻密な工程が続きます。まず、茶葉の上に落ちたゴミや枯れ葉を丁寧に吹き飛ばし、畑の表面をクリアに整えます。そこに遮光率80%の黒いネットをかけると、茶葉はわずか20%の光を最大限吸収しようとし、クロロフィルを一気に増やします。このプロセスが、八女茶らしい深い旨味と上品な香りを生み出す秘密なのだそうです。自然の力を借りながら、最後の仕上げで人の技が味に深みを加える。日本茶づくりの奥行きに、あらためて感動しました。(続)

■参考記事:JAふくおか八女「八女茶」

■マーケの種シリーズ。こちらの記事もぜひお読みください→【マーケの種67】UXデザインとUIデザイン②