【マーケの種105:TPOとマーケティングの関係④】

スーツはどこへ?TPO再編の時代に着るものが変わる


この記事はTPOとマーケティングの関係①から連載しているものです。
💻 リモートワークで「仕事着」の定義が消えた?

2020年以降、私たちの働き方は大きく変わりました。
とくにリモートワークの普及により、「オフィス=スーツ」の常識がゆらぎ始めたのは、多くの方が実感しているのではないでしょうか?

📉 国土交通省の調査(2022年)によれば、
都市部の企業のうち約46.5%がテレワーク制度を継続中。

その結果、多くの人が「出勤しない日常」の中で、より快適で機能的な服装を選ぶようになりました。


👕 「仕事着」から「過ごしやすい服」へシフト中

この変化は、アパレル業界にもはっきりと現れています。

スーツ専業メーカーが「きれいめカジュアル」に路線変更
大手スーツブランドが、ノーカラージャケットやストレッチ素材のセットアップを展開。
「オン/オフ」どちらでも使える設計が好評。

パーカー・スニーカーも“ビジネス仕様”に進化
質感やシルエットを工夫し、“きちんと見える”カジュアルウェアが登場。
「クライアントMTGでも失礼でない」シリーズも👟✨

上半身重視の“WEB会議映え”アイテムが売れている
襟付きカットソー、淡色シャツ、アクセントイヤリングなど、
画面に映る部分だけ整えるというニーズに対応した設計もヒット中。


👀 TPOの「再定義」が起きている

つまり今、私たちは**“TPOの再設計期”**を生きているとも言えます。

  • 「オフィスに行かない=何を着てもOK」ではなく、

  • 「誰と/どこで/どんな手段で会うか」によって、
    “ふさわしい服装”の基準が再構築されているのです。

💬 例:

  • 「社内ZoomならTシャツでOK」

  • 「社外プレゼンはジャケット+清潔感」

  • 「出社日は“歩ける靴+きちんと感”」など

このように、シーンの数だけTPOがある時代になりました。


🛍️ 購買行動も変わった?

あなた自身の買い物を振り返ってみてください。

  • 以前より「着心地」を優先するようになった

  • 通勤しない日が増えて、“毎日同じ靴”のような選び方

  • 服を買うとき「画面に映るかどうか」を気にするようになった

……そんな変化、ありませんか?🤔

実際、ある国内アパレルの調査では、
20~50代の約62%が「リモートワークの影響で服の選び方が変わった」と回答。

中でも30〜40代女性では、**「オン・オフ兼用の服を選ぶようになった」**という声が多数派。


📣 マーケティングの視点から見ると…

この変化から、企業やブランドが学ぶべきことは何でしょうか?

🔑 ヒントは次の3点:

  1. 「従来のTPO」ではなく、「今の働き方・暮らし方」に合わせた提案

  2. 目的ではなく“状態”にアプローチ(=快適、動ける、映える)

  3. シーン横断型プロダクトの強化(例:通勤も在宅もOKなパンツ)

TPOの枠組みが崩れつつある今、
ユーザーの“行動パターン”を読み解きながら、柔軟に価値を再設計していく力が求められています。


🧭 まとめ:「TPO=不変」ではない。時代と共に変わるもの

TPO(時・場所・場合)は、
固定されたルールではありません。
むしろ、その時代の働き方・ライフスタイルによって、常に変わり続けるもの。

だからこそ、私たちマーケターは、
**「何を着るべきか」ではなく、「どんな生活をしている人に、どんな価値を届けるか?」**を問い直す必要があるのです。


次回は、「TPOの再設計」に成功したアパレルブランドのプロモーション事例をご紹介します👔📈(続)