香港では映画の宣伝ポスターや電子広告があらゆるところに存在する。
同じ映画のポスターでも国によって異なるということをわたしは最近まで知らなかった。その国のマーケティング戦略にあわせて少しずつ変えているらしい。
日本の差異が指摘される時は大抵、映画の意図を大幅に歪曲しているという否定的な意見が多いようだ。
最近公開されていたディズニーの新作アニメーション「モアナと伝説の海」(原題”Moana”)もその傾向が見られる。
まず香港の宣伝ポスターは、今回のプリンセスであるモアナと旅の道連れマウイが並んで立っている凛々しい姿だ。これは香港以外でもほぼ同じである。モアナの溌剌とした力強さが伝わってくる画と言えるだろう。
香港の映画情報サイトWMOOVに映画紹介として載っている他の画面も、モアナが勇ましくオールを持つ姿などが見られる。
一方、日本版のポスターを見てみると、モアナが手でハートを作っている。マウイの姿はない(後ろの鳥がマウイの変身姿らしい)。本編の中にハートを作るシーンはそもそもない。
日本ではディズニープリンセスといえば可愛らしく優雅であるというイメージ戦略を打ち出していきたいようだ。しかしアナと雪の女王ではっきりとわかったように、近年のディズニープリンセスはもはや旧時代的な「白馬の王子様を待つ受身なお嬢様」ではいられない。それでも未だ日本でそのイメージを押し出す必要はあるのだろうか。
いかつい人間姿のマウイが消し去られてしまったのも、そのイメージを維持するためと考えられる。(刺青の印象が社会的に悪いためという説もあるが、どちらにせよ軽い扱いになったであろうことは想像に難くない。)
マウイの扱いの軽さに関してはこのデザインでさらに顕著に現れている。
完全に消し去られているのだ。
ディズニーが現代の風潮を巧みに取り込んで作り上げた作品の意図が薄れてしまうという点で残念な改変だと感じた。何より、日本人の感度をもう少し信じても良いのではないだろうか.
引用
http://wmoov.com/movie/photos/32541/6
http://www.disney.co.jp/movie/moana.html
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