【マーケの種26】サプリメントが繰り返し人々を惹きつける理由

サプリメント市場は、漢方薬が根強い人気を誇る香港 においても拡大を続けています。昨年まではNMN配合の製品が話題をさらいましたが、今年は完全にプロバイオティクスが主役 に。腸活を意識し、消化を助けて体の調子を整える効果が期待されることから、多くの消費者が手に取っています。特に**「腸内環境を改善することで痩せる」** というメッセージは、香港市場でも強く響いているようです。現在、顧客ブランドのために市場調査を進めていますが、この流行の背景には、単なる健康意識の高まりだけではない、人々の心理的な要因が大きく影響していると感じます。

なぜ、人はサプリメントに惹かれるのか?

そもそも、なぜ消費者は、効果が明確に実感できるとは限らないサプリメント にこれほどまでに惹かれるのでしょうか?

① 「最新の科学」への期待感

サプリメント市場は、「体に良い」とされる新たな成分が次々と登場する ことで、常に注目を集めています。たとえば、

  • 健康をサポートする善玉菌

  • 体内で生成できないが必要不可欠な栄養素

  • アンチエイジング に効果がありそうな成分

  • DNAレベルで健康をサポート すると謳われる成分

こうした科学的な響きを持つワード は、消費者の興味を引き、「最新の研究が導き出したものなら、試してみたい」という欲求 を刺激します。

② 「薬ではない」安心感

サプリメントは、医薬品のような強い副作用の心配が少ない というイメージを持たれています。そのため、「健康のために気軽に摂取できる」 という認識が広まり、日常的に取り入れやすいと考えられているのです。特に、「日本や欧米のR&D(研究開発)と技術による製品」 というキャッチフレーズは、香港市場で高いブランド価値を持ち、安心感を強化する要素になっています。

③ 広告戦略による「共感」と「憧れ」

広告の手法も、サプリメント市場の成長を支える重要な要素です。自分と近い世代のタレントやインフルエンサーがスポークスマンを務める ことで、消費者の共感を生み、信頼感を高めます。特に美容や健康への関心が高い層 に向けたマーケティングでは、この手法が非常に効果的に機能します。

サプリメント市場は「心理戦」でもある

サプリメントは、単なる健康補助食品ではなく、「科学」「安心」「憧れ」 という要素を巧みに組み合わせながら、消費者の心理に深く入り込んでいます。今年のプロバイオティクスブームも、こうした要素が絡み合って生まれたものなのでしょう。

市場のトレンドは移り変わりますが、「より健康に、より美しくなりたい」という人々の根源的な欲求は変わらない ものです。その欲求を刺激し続ける限り、サプリメント市場はこれからも拡大を続けることでしょう。次にブームを巻き起こすのは、どんな成分でしょうか? それを見極めることが、マーケターに求められる視点なのかもしれません。