【マーケの種75】味覚も嗜好も変わる ④

味覚と習慣の変化:ラーメンが教えてくれること


「塩辛すぎる」は過去の話? かつて、日本のラーメンは「味が濃すぎる」「脂っこい」「しょっぱい」と、香港では一部の人に敬遠されていました。 ですが、いまや月に数回ラーメンを食べるという香港人も少なくありません🍜

この変化は単なる一時的なブームではなく、味覚と食習慣そのものの変化を示しています。香港人の味覚が、より多様な文化的背景や味の個性を受け入れる方向へと進化しているのです。


第二次ラーメンブームがもたらしたもの 「一風堂」「一蘭」「豚王」など、日本の人気ラーメンチェーンが香港に本格進出したのは第二次ブームの時期。 彼らが注力したのは、「現地化」ではなく日本の味をそのまま再現することでした。

驚くべきことに、その“原型のまま”の濃厚な味わいが受け入れられただけでなく、人気を博したのです。これは、香港人の味覚が変わったことを如実に物語っています。


ラーメンが変わったのではない。人が変わったのだ。 この事例の本質は、「ラーメンが香港風にアレンジされた」のではなく、香港人の側が“日本の味”を理解し、楽しめるようになったという点にあります。

濃厚なスープ、強めの塩味、脂のコク。それらを「重い」と感じるどころか、むしろ「本格的」「クセになる」と感じる人が増えました。 これは、単なる嗜好の変化ではなく、多文化を積極的に取り入れる姿勢の表れでもあります。


味覚の変化は、文化受容のバロメーター 日本のラーメンが香港で成功した背景には、変化した味覚と、外来文化を柔軟に取り込む土壌があります。 ラーメン人気は、こうした「食習慣の変化」と「文化受容の広がり」を象徴する好例です✨

食べ物は、単なる栄養ではなく、その土地の価値観や開放性を映す鏡。 **ラーメンをめぐる香港の変化は、まさに「味覚が語るグローバリゼーション」**の一断面なのかもしれません。(続)