【マーケの種76】味覚も嗜好も変わる ⑤

ラーメン人気の背景にある「生活の変化」


マーケティングだけでは語れない ラーメンが香港でここまで人気を集めるようになった理由は、単なる“マーケティングの巧さ”だけでは説明できません。

確かに、魅力的なブランディングやSNS映えするビジュアル、限定メニューなどの工夫もあります。でも、それ以上に重要なのは――受け入れる側の変化でした。

つまり、香港の人々自身の味覚やライフスタイルが変わったということです🍜


「しょっぱいから無理」から「今日は豚骨にしようかな」へ ひと昔前の香港では、日本料理は「味が濃すぎる」「塩分が強い」と敬遠されることも多くありました。しかし今では、街を歩けばラーメン店があちこちに。昼休みに一杯、夜の締めに一杯、という光景もごく普通になっています。

この変化は偶然ではなく、日本料理に触れる機会が増えたこと、そして香港人の食の好みがより多様で柔軟になってきたことが大きく関係しています✨


味覚は“固定されたもの”ではない 私たちはつい、「味覚は個人の好み」「文化が違えば合わないものもある」と思いがちですが――実は、味覚も食文化も、時代や生活の変化とともに少しずつ進化していきます。

仕事のリズム、外食スタイル、SNSからの情報、旅行体験。そうした日々の積み重ねが、「食べてみようかな」「あ、意外と好きかも」という小さな変化を生み、やがてそれが新たな食文化の定着につながっていくのです😊


ラーメン人気に見る“文化の受容力” 香港でのラーメン人気は、ただのグルメトレンドではなく、味覚や習慣の変化、そして外来文化への柔軟な適応力を映し出しています。

“しょっぱいから無理”だった料理が、今では“今日の気分は味噌?それとも豚骨?”と選ばれるようになる。その背景には、社会の変化と、生活者の意識の変化があるのです。

ラーメンの器の中には、意外と深い文化と時代の流れがつまっているのかもしれません(了)