【香港図鑑057】 ビル工事の担い手たち──ヒンディー語とネパール語が響く現場から

🚧「高所での作業は安全第一」──そう書かれた注意書きが、香港の建設現場に貼られていました。
しかも、英語だけでなく、ヒンディー語とネパール語でも
目を凝らすと、高所で作業しているのは、ネパール系やインド系の作業員たち。
日々、都市の骨格をつくるその姿に、香港という都市の“もうひとつの顔”が見えてきます。


🏗️ 建設現場の“見えない主役たち”

香港では、建設業界で働く外国人労働者の存在なしには、インフラも都市開発も成り立ちません。
特にネパール人やインド人の就労者は、重労働・高所作業・専門技能職などを担う重要な人材とされています。
慢性的な人手不足が続く建設業界において、彼らの存在は“縁の下”ではなく、むしろ“骨組みそのもの”。
高層ビルの足場、地下鉄の延伸、道路の補修──彼らの手が、街を支えているのです。


⛰️ ネパール人と香港の意外な接点

ネパール人が香港の建設現場で多く活躍する背景には、英国統治時代の歴史的なつながりがあります。
かつて英軍に従軍していたグルカ兵の子孫が、退役後に香港に住み、労働市場に参加したという流れもあります。
また、勤勉で真面目、そして体力があるという点で、現場から高い評価を受けているそうです。
今では、二世三世の世代も増え、香港で育ったネパール系の若者が、現場の管理職や通訳役としても活躍しています。


🧩 多文化都市・香港の“構造材”

インド系の労働者もまた、専門的なオペレーションや現場監督業務に従事しており、建設現場の中核を担っています。
現場にはヒンディー語、英語、広東語が飛び交い、まさに多言語・多文化のコラボレーション空間となっています。
こうした労働力の多様性は、人口の7.6%が外国人という香港ならではの社会構造を反映しています。
彼らの存在は、経済面でも、都市文化の側面でも、香港の“見えないインフラ”のひとつなのです。


🧠 高層ビルの完成を見上げるとき、そこに関わった名前のない多くの人々の手仕事が積み重なっていることを、ふと思い出します。
📝 建設現場の言語が多言語であること自体が、すでにこの都市の“リアルな姿”なのかもしれませんね。

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