マーケの種139:URLとIRL⑥

水中に深く潜る女性。五感をフルに活用する没入型(イマーシブ)体験のイメージ

― 「没入体験」とリアルな場の再評価 ―

バーチャル世界が拡張し続ける今でも、人々はリアルな場での体験を求め続けています。マーケティングの大家であるフィリップ・コトラーは Marketing 6.0 の中で、Z世代は「Immersive(没入型)体験」を強く欲していると述べています。これは単なるオンラインのやりとりではなく、五感をフルに活用できる体験を意味します。

視覚だけでなく、聴覚・触覚・嗅覚・味覚を伴った体験が、デジタルだけでは得られない「記憶に残るマーケティング」につながるのです。📱👂👀👃👅


小売業界に見る進化

例えば、小売業界。ECサイトの利便性は年々向上し、ワンクリックで商品を購入できる世界になりました。しかし、それでも店舗の役割が消えることはありません。むしろ、リアル店舗は「特別な体験を提供する場」として進化しています。

代表例はアップルストア。iPhoneやMacBookはオンラインで購入可能ですが、店舗に足を運ぶことで、製品を実際に触れ、操作感を確かめ、スタッフと会話しながら疑問を解消できます。さらに、「Today at Apple」という無料セッションでは、写真の撮り方や動画編集の方法などを学べる場を提供し、店舗を**「学びと交流の場」**へと変えています。

このように、リアル店舗は単なる販売拠点ではなく、ブランド哲学を体験できるIRLマーケティングの好例です。


「第三の場所(Third Place)」の役割

さらに、理想的なIRLスペースは「第三の場所(Third Place)」としての役割も果たします。これは社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した概念で、家(First Place)、職場(Second Place)に続く、人々が気軽に集まり、交流できる空間を指します。

  • カフェ(例:スターバックス☕)

  • 書店(例:蔦屋書店📚)

  • ジムやヨガスタジオ💪

  • 公園や広場🌳

これらはすべて、社会的なつながりを生み出す場所です。実際、スターバックスは自らを「コーヒーを売る会社」ではなく「第三の場所を提供する会社」と定義づけています。2023年時点で世界に36,000店舗以上を展開しているのも、この哲学が人々に受け入れられている証拠でしょう。


URL時代だからこそIRLが光る

URLを通じた情報取得がこれほど容易になった今だからこそ、リアルな場の価値が再評価されています。人は結局、スクリーンの中だけでは満たされず、リアルな接触・会話・偶然の出会いを求める生き物です。

URLは入口、IRLは心を動かす舞台。 デジタルとリアルの両方をデザインすることが、これからのマーケティングにおける最大のテーマのひとつになるはずです。😊

(続)👉

マーケの種シリーズ。こちらもいかがですか?→【マーケの種48】デザイナーはなんでもできる?③〜内製化とスキルの活用 

参考記事:Philip Kotler “The Father of Modern Marketing” (英語)