【マーケの種91:香港マーケティングの現状と課題②】

農夫が畑に丁寧に種をまいている様子。これは、短期的な収穫ではなく、長期的な視点でブランドを「育てる」マーケティングの重要性を象徴している。 【解説】

―「バズる」では足りない。マーケティングに必要な“軸”とは?


📉 一貫性なきマーケティングが招く混乱

前回述べたように、マーケティングは企業の“未来づくり”の要です。しかし香港では、マーケティング活動に明確な軸や一貫性が欠けているケースが多く見受けられます。

「成果を出せ」と言われますが、その“成果”の定義が曖昧。SNSの「いいね」数や、広告の瞬間的なバズだけが評価対象となり、本質的なブランド価値の構築や顧客関係の深化が軽視されがちです。


⏳ 短期指標ばかり追いかけても、信頼は積み上がらない

PVやCVR、フォロワー数──確かにこれらの数値は可視化しやすく、社内報告にも向いています。けれど、そればかりを追いかけても、顧客の“記憶”には残りません

マーケティングの本質は、ブランドの信頼を育み、時間をかけて“選ばれる理由”を築くこと。短期の反応だけを成果とする姿勢のままでは、市場での差別性は作れません


🧱 戦略不在の背景にある“成功体験”という壁

ではなぜ、香港では短期施策偏重の傾向が根強いのでしょうか?一因として考えられるのが、過去の成功体験です。

90年代から2000年代前半にかけて、香港企業はスピード感と実行力で結果を出してきました。「広告を打てば売れる」「値段を下げれば動く」――そうした方程式が機能していた時代が確かにあったのです→


🧭 今こそ“刈り取り型”から“育てる型”へ転換を

ただし、今は市場環境も消費者も大きく変わっています。目先の成果だけでは、顧客の信頼も、ブランドの存在感も築けません。

これからの香港企業には、「素早く売る」から「じっくり育てる」への転換が求められます。マーケティングを戦略として再定義するためには、一貫した目的と評価軸を持つことが第一歩です(続)