香港には「車が走らない街」がある。
それがランタオ島に位置する“ディスカバリー・ベイ(Discovery Bay)”。中心部までフェリーで約25分、空港までもバスで30分ほどの距離にありながら、この街にはガソリン車の乗り入れが原則禁止されています。
環境への配慮と“静かな居住空間を守る”という設計思想のもと、許可を得たバスや緊急車両以外は入れません。結果、この街で生活する人々の足となっているのが――**電動カート(ゴルフカート型)**なのです。
見た目は可愛らしく、音も静か。買い物帰りに子どもを乗せて走る姿、ビーチ沿いを風に吹かれながら流す姿は、まるで小さなリゾート映画のワンシーン。現在、登録された電動カートは約500台(2024年時点)。ただし新規登録は厳しく制限されており、ナンバープレート付きのカートは非常に希少な存在です。驚くべきことに、中古市場では**1台あたり200万香港ドル(約3800万円)**に達すると言われます。もちろんこれは車体価格ではなく、“登録権”そのもののプレミア価値。まさに「走る不動産」とも呼べるほどの資産です。
充電は自宅の駐車スペースで。家庭用コンセント(220V)から夜のうちにフル充電すれば、翌日は街をぐるっと一周できるほどの航続距離。買い物、子どもの送迎、友人とのランチ、パーティの送り迎え――生活のあらゆるシーンで大活躍しています。
幅広い世代に愛されるこの電動カートは、単なる移動手段ではなくコミュニティの象徴。静かで、環境にやさしく、ちょっと高価だけれど、どこか愛嬌のある乗り物。🏝️ それが、ディスカバリー・ベイの“ゆっくりした時間”を運んでいるのです。
■参考記事:香港政府観光局「愉景湾(Discovery Bay)」
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