小さなフェリーボートの桟橋は、やはり船着場の古びた階段をゆっくりと降り、手すり越しに覗く海面。そこにはエメラルドグリーンがかった海水が、光と風に合わせて穏やかにきらめいている。「たぷたぷ」と小さな波が階段を撫で、その音がまるで誰かの吐息のように響く。遠くの喧騒を吸い込むようにして、ここには海と光と、ゆっくりとした鼓動だけが残る。人の営みのすぐ足もとで、こんなにも静かな自然のリズムが動いていることに気づく瞬間だ。
香港の喧騒を歩いていると、ふと重力に逆らうような光景に出会うことがあります。コンクリートの割れ目から、あるいは垂直に切り立つ石垣の隙間から、無数の「触手」のようなものが垂れ下がっている。それが香港を象徴する樹木、バンヤンツリー(榕樹)です。 Continue reading “【香港図鑑133:バンヤンツリー】”