【マーケの種149:インバウンドから移住へ?🏠①】

「日本永駐(日本の永住権)」の取得を謳う海外向けの中国語ネット広告

「観光客」から「移住者」へ。

ここ数年、日本を訪れる外国人の姿がじわじわと変化しています。以前はカメラ片手に街を歩く“短期観光客”が主流でしたが、最近では「長く住みたい」「拠点を持ちたい」という人たちの動きが目立ちます。観光目的のインバウンド(訪日外国人消費)は一巡し、いまや次のステージ――**「ライフスタイルとしての日本」**が広がりつつあるのです。💬

日本政府観光局(JNTO)によると、2023年には外国人訪問者が延べ2,500万人を突破。そのなかで、1年以上の中長期滞在ビザ取得者が前年比20%超増加しています(法務省出入国在留管理庁データ)。単純な観光消費を超えた「住む・働く・暮らす」という選択が、現実味を帯びてきたのです。

香港から見た日本:第二の“リアルホーム” 🇭🇰🇯🇵

以前から「Japan is my second home」と微笑みながら語っていた香港の人々。ところが近年、そのフレーズが比喩ではなく“本気”になっている姿が見えてきました。背景には、経済と生活環境のコントラストがあります。香港の住宅価格は東京の約3〜4倍に跳ね上がり、中心地では1ユニットおよそ3億円相当。一方で、日本では3,000万円台で戸建て住宅がまだ手に入るエリアも多い。単純計算すると、1部屋を売って日本に住居を買っても、2億7,000万円が余る計算です。これではもはや「夢」ではなく現実的な移住戦略として語られるのも納得ですね💸

「観光」から「定住」への流れを見抜くマーケティング視点

香港や台湾、シンガポールの富裕層だけでなく、中間層の人々も「住む」選択を検討するようになっています。背景には、医療・食の安全性、育児環境、そして**“安心して生きられる空気感”。日本が持つ清潔さや社会の安定性が、ブランドとして再認識されているのです。マーケティング的に見れば、これは「インバウンド市場の第二段階」とも呼べます。“一回きりの顧客(観光客)”が“リピーター”を経て“定住者(居住消費層)”へ進化しているという構造。ここに新たなビジネス、プロパティ、教育、医療、住宅、金融といった多層的な需要の波**が起こっています。

ネット広告にも変化が!📲

最近ではSNSやYouTubeを中心に、「日本移住セミナー」「永住サポート相談会」といった広告が、香港・台湾・東南アジアユーザーに日常的に配信されています。“Immigration Consultant”という言葉が検索候補に上がる頻度も増えており、これは単なる流行ではなく生活価値観のシフトを象徴しています。

これから、私たちはどう向き合うか?🤔

観光立国としての日本が、「居住立国」へと変わる可能性。そこにはビジネスチャンスだけでなく、社会の受け入れ体制、地域コミュニティの調和、文化共生といった課題も見えてきます。「来日する」から「暮らす日本」へ——。 マーケターに求められるのは、いま起きている変化を一過性のブームとして消費せず、長期の価値転換として理解する感性なのかもしれません。

(続)
■参考記事:JNTO 「訪日外客統計」
■マーケの種シリーズ。こちらの記事もぜひお読みください→「広告成功の公式:具体×抽象」⑤〜マーケの種57