【香港図鑑145:風車】

青空の下、長洲(チョンチャウ)の路地の上にずらりと飾られた色鮮やかな風車

「風が運ぶ、見えない願い」

長洲(チョンチャウ)の細い路地を歩いていると、ふいに頭の上で「カラカラ」と軽い音がします。見上げると、軒先に吊るされた色とりどりの風車が風にあおられて、くるくると回っていました。赤、金、緑、ピンクの鮮やかな紙やプラスチックの羽根が光を反射して、狭い路地にきらめく小さな渦を描いています。🏮

商店街の軒先や寺の参道にも、この風車が飾られている風景をよく見かけます。実はこの風車、香港では縁起物として知られ、「風水では運気を巡らせ、悪い気を吹き飛ばす」と信じられています。特に赤や金を多く使ったものは、商売繁盛・厄除け・家庭円満の願いが込められているのだとか。風が通るたびにくるくると回り、よい気を呼び込む——つまり、“運”を循環させる装置のような意味合いを持っているのです。

📍ちなみに、香港最大の風車市は旧正月前に九龍・車公廟(チェクコンミュウ)で開かれ、毎年約10万人が願いを込めて風車を購入します。風車市では手のひらサイズから人の背丈を超えるものまであり、家の玄関やオフィスの入口に掲げるのが定番。今年一年の幸運を「風に乗せて運んでもらう」という発想は、どこか現代的でもあります。

■参考記事:香港政府観光局「車公廟(Che Kung Temple)」

潮風が抜ける長洲の路地で、くるくると回る風車たちを眺めていると、ただの飾りではなく、人の願いが空気のなかを流れていくような感覚に包まれます。風が吹くたびに音を立てるその音は、祈りのリズム。きっとこの島では、風そのものが、誰かの幸運の使者になっているのかもしれません。🍃

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