【マーケの種161】お茶づくりに見る、日本の手間とブランド力(3)

石の上に置かれた木の板に乗った、美しい緑色に点てられた抹茶

日本茶づくりの手間、その奥深さに迫る

日本茶の製造工程を深く知ると、ウーロン茶や紅茶との違いに驚かされます。例えば、ウーロン茶は、ある程度発酵させたあと茹で上げるだけで完成します。一方で、紅茶は摘んだ茶葉を自然のまま放置するだけで発酵が進み、商品として仕上がります。

このように、ウーロン茶や紅茶は比較的シンプルな工程で作られるのに対し、日本茶はその製造過程において格段に多くの手間がかかっているのです。

日本茶は、茶葉を摘み取った後も「揉み」「蒸し」「乾燥」といった工程を経なければなりません。これらは単純な作業ではなく、茶葉の状態を見極めながら、その都度最適な処理を施す高度な技術と経験が要求されます。例えば、摘みたての茶葉を適切なタイミングで蒸すことができなければ、味や香りが損なわれてしまいます。そして蒸した後も、手際よく揉んで形を整え、じっくりと乾燥させる必要があります。この一連のプロセスは、一つひとつが職人技の積み重ねと言えるでしょう。

焙煎にも段階がある――日本茶の奥深さ

さらに、日本茶の製造には「焙煎」という工程が加わります。この焙煎も一次・二次と段階的に行われ、それぞれの段階で茶葉の香りや風味が丁寧に引き出されます。ここまで手間をかけた茶葉が、ようやく焙煎業者や小売業者の手に渡り、消費者に届けられるのです。ひと口の日本茶には、実に多くの人々と膨大な時間が関わっていることが分かります。

例えば、静岡県内のある製茶工場では、1時間で約40kgの茶葉を加工する際に、5人以上の専門職人が関わるというデータがあります。このように、日本茶づくりの現場では、単なる効率性を超えた「手間のかかったものづくり」が実践されています。

人の手が生むブランド力

こうした背景を知ると、日本茶づくりの精神が見えてきます。それは、自然の恵みにただ頼るのではなく、人が手間を惜しまず、「品質を高めるためにできることはすべて尽くす」という姿勢。淡々とした作業の積み重ねが、日本茶のブランド力の根幹を支えているのです。製造現場を訪れると、その静かな情熱とこだわりに圧倒されます。これらは、単なる「お茶」という一製品を超え、日本のものづくり全体に通じる価値観といえるでしょう。

(続)

■参考記事:全国茶清算連合会:茶ができるまで
■マーケの種シリーズ。こちらの記事もぜひお読みください→【マーケの種】UXデザインとUIデザイン④✨