【マーケの種79】ドラッグストアとどう付き合う③

A shelve filled with drugs at a drugstore

“見えないデータ”と“縛られるチャネル”

POSデータの“ブラックボックス”問題 ドラッグストアに商品を卸しても、メーカー側に届くのは「売れたかどうか」の結果だけ。肝心の「誰が、なぜ、それを買ったのか」というプロセスは、ストア側のPOS(販売時点情報)に閉じたままです。
たとえば―― 20代女性に人気があるのか? リピーターが多いのか? 値引きによって一時的に売れたのか? こうした情報が見えないままでは、次の一手が感覚頼りになってしまいます😓本来なら、マーケティング戦略や商品設計に活かされるはずのデータが、ブラックボックス化しているのです。 “他で売らないで”という無言の圧力 もう一つの大きな壁は、チャネル制約です。 ドラッグストアの中には、メーカーが独自にEC展開をしたり、他の小売と組んで販売したりすることに難色を示すケースもあります。 「ここで売るなら、ほかでは控えてね」そんな無言のプレッシャーが存在することも…😓 特に、売れ筋商品を「自社の専売品」のように扱いたいストア側の意図が強まると、メーカーは販路の多様化に踏み出せず、販売戦略が硬直化してしまうのです。 値下げ要請と“利益のジリ貧” さらに厳しいのが、継続的な価格引き下げ要求。「値引きしないと売れない」「競合も下げてきてる」といった理由で、ストア側からは、しばしば販促協力金の増額や、希望小売価格の見直しが求められます💸 その結果―― マーケティング費用が捻出できない 商品改良や新製品開発に回す予算が減る ブランド価値が下がる恐れも といった副次的な影響がじわじわと広がっていきます。 “パートナー”であるはずが、“制約”の源に? 本来、ストアとメーカーは共に売上を伸ばすための協力関係にあるはず。 しかし現実には、情報の非対称性と販路の縛りによって、メーカー側の戦略が消耗的かつ受け身になりがちです。 売れる場所に置いてもらうために、 売れる理由さえ見えないまま、 売れる工夫をし続ける。 これでは、持続的なブランド戦略は描けません。 次回は、こうした状況を打破するために、メーカーがどのように情報を得て、販路を活かす工夫をしているか、その具体的なアプローチを見ていきます(続)