“見えないデータ”と“縛られるチャネル”
POSデータの“ブラックボックス”問題
ドラッグストアに商品を卸しても、メーカー側に届くのは「売れたかどうか」の結果だけ。肝心の「誰が、なぜ、それを買ったのか」というプロセスは、ストア側のPOS(販売時点情報)に閉じたままです。
たとえば――
20代女性に人気があるのか?
リピーターが多いのか?
値引きによって一時的に売れたのか?
こうした情報が見えないままでは、次の一手が感覚頼りになってしまいます😓本来なら、マーケティング戦略や商品設計に活かされるはずのデータが、ブラックボックス化しているのです。
“他で売らないで”という無言の圧力
もう一つの大きな壁は、チャネル制約です。
ドラッグストアの中には、メーカーが独自にEC展開をしたり、他の小売と組んで販売したりすることに難色を示すケースもあります。
「ここで売るなら、ほかでは控えてね」そんな無言のプレッシャーが存在することも…😓
特に、売れ筋商品を「自社の専売品」のように扱いたいストア側の意図が強まると、メーカーは販路の多様化に踏み出せず、販売戦略が硬直化してしまうのです。
値下げ要請と“利益のジリ貧”
さらに厳しいのが、継続的な価格引き下げ要求。「値引きしないと売れない」「競合も下げてきてる」といった理由で、ストア側からは、しばしば販促協力金の増額や、希望小売価格の見直しが求められます💸
その結果――
マーケティング費用が捻出できない
商品改良や新製品開発に回す予算が減る
ブランド価値が下がる恐れも
といった副次的な影響がじわじわと広がっていきます。
“パートナー”であるはずが、“制約”の源に?
本来、ストアとメーカーは共に売上を伸ばすための協力関係にあるはず。
しかし現実には、情報の非対称性と販路の縛りによって、メーカー側の戦略が消耗的かつ受け身になりがちです。
売れる場所に置いてもらうために、
売れる理由さえ見えないまま、
売れる工夫をし続ける。
これでは、持続的なブランド戦略は描けません。
次回は、こうした状況を打破するために、メーカーがどのように情報を得て、販路を活かす工夫をしているか、その具体的なアプローチを見ていきます(続)