“依存”から“自走”へ。メーカーの再構築戦略
POSがなくても「声」を集める
大手ドラッグストアがPOSデータを開示しない以上、メーカーは自ら消費者の声を拾いに行くしかありません。
その手段として注目されているのが、小規模なアンケート調査や、特定ユーザーに深掘りする**N=1インタビュー(N1分析)です。正確な数字は得られなくても、「なぜ買ったのか」「なぜ手に取らなかったのか」**という“温度のある声”を得ることは可能です👂✨
こうしたミクロなインサイトの積み重ねが、やがてブランドの方向性や商品訴求において大きなヒントになります。
オンラインは“売る場”であり“聞く場”でもある
近年では、自社ECサイトやSNS広告を活用して、直接消費者とつながる仕組みを持つメーカーも増えています。
– ECサイトでの売上データ
– SNSキャンペーンへの反応
– 商品レビューやコメント欄の声
これらは、ドラッグストアでは得られなかったリアルなユーザー感情の宝庫です💡単なる販売チャネルではなく、マーケティングと商品開発のヒントを得る「情報資産」としてのオンラインチャネルが、今後ますます重要になるでしょう。
販路を「増やす」のではなく「分散させる」
ストア依存を脱却するには、単に他に売る場所を増やすだけでは不十分です。重要なのは、販売チャネルの“重み”を分散させること。
たとえば、日本の「マツモトキヨシ」のような他地域のドラッグストアや、ローカル系のセレクトショップとの提携など、特定のストアに偏らないポートフォリオを構築することで、交渉力のバランスを取り戻すことができます🧭
これは、香港市場においても有効な考え方です。マニングス一強の構造の中で、あえて別の販路を育てることで、依存から脱却し、選択肢を持った関係性へと転換することが可能になります。
“自立したメーカー”に未来はあるか?
香港ドラッグストア市場において、メーカーが強い立場を持つのは難しい。
それでも、情報を自ら取りに行く姿勢と、販路の分散戦略によって、「置いてもらう側」から「選ばれるパートナー」へと、ポジションを少しずつ変えていくことはできます。
“依存”ではなく“共創”へ。
その第一歩は、自分たちの手で消費者との関係を築き直すことから始まるのかもしれません😊(続)
📌 註:このシリーズで扱っている事例や背景は、主に香港市場におけるドラッグストアとメーカーの関係に基づいています