【マーケの種118:売れるための変質①】

テーブルの上に置かれた開いた本。ページがめくれかけており、物語の始まりや変化を象徴している。

「売れる」って、どういうことだろう?

作品が広く知られ、長く愛されるようになるとき、そこには“変化”が起きています。原作にあった哲学的な深さ、社会への問題提起、登場人物の複雑な内面——そうした要素が、より「わかりやすく」「親しみやすく」変えられていく。

たとえば、ムーミン。鬼太郎。デビルマン。どれも、原作とは姿を変えながら、アニメや商品展開を通じて世代を超える存在となりました。

この連載では、「売れるための変質」と題し、全5回にわたって

  • 原作とアニメの違い
  • 変質がもたらす商業的成功と文化的評価
  • マーケティングにおける“入口”と“深化”のバランス

などをひとつずつ丁寧に考察しています。

「変わること」は、原作の価値を失わせる行為なのか?それとも、広く届けるために必要な戦略なのか?そして、変質の先にこそ再評価の可能性があるとしたら——?

第一回:アニメ化がもたらす“変質”という入口

マンガや小説のアニメ化にあたって、原作の持つ哲学や社会批評といった深いテーマが削ぎ落とされるケースは少なくありません。代わりに前面に出てくるのは、「かわいらしさ」や「かっこよさ」といったビジュアル的な魅力や、明快なストーリー構成です。

これは、ムーミン(トーベ・ヤンソン)、ゲゲゲの鬼太郎(水木しげる)、*デビルマン(永井豪)といった名作でも例外ではありません。 – 参考記事:ムーミン公式s(英語)

原作のムーミンは喪失や孤独といったテーマを内包していますが、アニメ版では温かいファミリー向け作品に。

鬼太郎は、本来ブラックユーモアや風刺の強い作品ですが、アニメでは勧善懲悪のヒーロー像が強調されます。

デビルマンは、人間の愚かさや戦争を描いた重厚な物語ですが、テレビアニメでは悪魔と戦うアクション作品へと変貌しました。

こうした変質によって、作品はより多くの人々に届き、世代を超えて愛される存在となっていきます。一方で、原作の深みが削られたことで、単なる娯楽として消費されてしまう側面も否めません。

📌 「売れるために変わる」という選択は、果たして必要な犠牲だったのでしょうか?

(続)

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参考記事: